Columnコラム
2023.07.07
地域と作り上げた西荻窪店の礎
西荻窪駅から徒歩30秒にところにある丸冨水産西荻窪店では、旬の新鮮な魚とお酒がリーズナブルな価格で楽しめることから昼夜問わずお客様の笑顔で溢れている。
常連のお客様も多い西荻窪店が、長く愛される店舗であるために意識していることは何なのか。お店を営業していく上で必要となる考え方、こだわりを竹内店長に訊ねた。
逆転の発想
西荻窪は東京の中では比較的落ち着いた街だと感じていて、日々新たな人が訪れるというよりは、駅周辺に住んでいる人で賑わっている印象が強いです。そのため、お店に来られるお客様も一見さんばかりではなく、常連のお客様が多くいらっしゃいます。
また、西荻窪店は駅から近いものの、店舗が2階にあり少し入りづらいという欠点があるため、この点も新規より常連のお客様が多い1つの要因でした。ただ、コロナ禍をきっかけに少しずつ新規のお客様が増えてきた実感があります。
コロナ禍では営業時間に制限がされており、夜の時間にお酒を出せず、早くお店を閉めなければいけなかったので、お客様がなかなか入らず苦しい毎日でした。
その時にランチに力を入れ、原価をあまり気にせず美味しく豪華な定食を提供することにしました。とにかく来てくれるお客様に少しでも満足いただけるように努力をしたところ、SNSで拡散してくれるお客様が現れ、そこから新規のお客様にもご来店いただけるようになったのです。
原点となった想い
最近はこれまで少なかった若いお客様のご利用も増えていますが、以前として常連さんは多いことから、地域に寄り添っている店舗だと感じています。
2017年から私は西荻窪店の店長に就いたのですが、それまでは「魚」をやりたいという想いだけが強く、正直店長になりたいとは考えていませんでした。そのため、一度店舗を離れた時期もあったのですが、再度お声をかけていただく機会があり、店長に就くことに決めました。
この決断をした理由は、西荻窪店はまだベースが整っていない部分も多く、一からのお店作りに関われると感じたからです。
地域密着型の店舗にしていきたいと考えたのはこの時で、来てくれるお客様と近い距離感を意識して接客をすることでお店の雰囲気を作っていきました。
また、その当時はメニューも自分たちで試行錯誤しながら決めていました。魚がメインであることは変わりませんが、肉やそのほかの料理も提供していたことから、今よりも魚を求めて来店されるお客様は少なかったです。
その後、メニューの部分は魚を中心にブランドとして統一していく方針となりましたが、「地域密着型」という西荻窪店の特色は今でもしっかり受け継がれており、さらにはfoodex groupとしての想いとも強く結びついていると感じています。
やるべきこととは
魚をメインに扱う店舗であることから、魚の扱いには細心の注意を払っています。特にアニサキスを絶対に出さないというのはお店として徹底している部分で、機械を通してチェックするだけでなく、電球に透かしてセルフチェックも行うなど、二重三重で徹底して確認を行なっています。
仕入れに関しては目玉となる旬の魚はもちろんのこと、どれだけ鮮度や味を落とさず仕入れ値を下げられるかということを意識しています。例えば、旬の終わり際のものは質が落ちてなくても少し価格が落ちてきたりするので狙い目の1つです。
こうした魚の扱いをはじめ、育成を行う立場としてとにかくコミュニケーションをしっかりとることを意識しています。その中で、それぞれがどれくらい動けるかということを判断して、その人に合わせて教え方を変えたりもしています。
例えば、飲食経験が全くないという人に対してはしっかりマンツーマンで初歩的な部分から教えたり、飲食経験がある人にはまずドリンクをやってもらいながらレジ打ちなどその他の作業を教えていくといった具合です。ベテランのバディなどとも協力しながら、おおよそ半月から1ヶ月後には一人でも問題なく動けるようになっていきます。
その後はお客様との接し方などプラスアルファの部分も意識してもらうように声かけをしていきますが、近い距離感でお客様と会話することなど、明確に正解が決まっていない部分は伝えるのに苦労している点もあります。
より魅力的なブランドへ
これまでの店長経験で誇れる部分があるとすれば、自分が店舗に立ってから約8年に渡って年間の売上が上がり続けていることです。
引き続き売上を安定して伸ばしていくということはもちろんのこと、まだまだお客様が少なく暇になってしまう時間帯があるので、今後は常に忙しい店舗になっていきたいです。
そのためには、お客様からの満足度をもっとあげていくことが必要です。私は主にキッチンにいる時間が長いため、料理の質という部分によりコミットし、バディの人たちには、接客面でお客様の満足度をあげてもらえるようにサポートしていきます。どちらも店舗として追い求めるべきことであると同時に、達成できればもっといい店舗にできるとも感じています。
飲食業界は人材の入れ替わりが激しいという側面もありますが、お客様から満足されるお店になれば、ここで働くことにメリットややりがいを感じてくれるはずです。
学生のアルバイトから社員へ、さらに社員としても長く働いてくれる、そんな場所になるために、お客様の満足度向上をこれからも追い求めていきます。