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Columnコラム

2023.09.27

虫の目、鳥の目、魚の目

東京最北端の繁華街と言われ、多くの商業施設や飲食店が立ち並ぶ赤羽。安く(千円で)お酒が楽しめることからまたの名を「せんべろの街」とも称されるこの街に、現在かぶら屋は3店舗を構えている。

その3店舗をまとめているのが数々の店舗を渡り歩いてきた松本さんである。複数店舗を見ながらも日々店舗を回すために意識していることは何か。また、これまでの葛藤や今後への強い思いについて訊ねた。

それぞれの色

松本店長

私は2021年頃から赤羽のかぶら屋3店舗を統括するポジションに立っています。3店舗を見ていてすごく面白いのが、お店同士の距離も近く、同じメニューを提供しているのですが、3店舗ともお店の雰囲気が少し違っていて特徴があるという点です。

1号店は通りに面していて、外飲みができることから店内も明るく賑やかな雰囲気があります。さらに休日は12時からお店を開けているため、昼飲みを目的で来られるお客様も多いです。

2号店は2階にも席があり、カウンター席が多く配置されている店舗となっていることから、一人で飲みに来られるお客様が多くいらっしゃいます。そのため、比較的落ち着いた雰囲気が特徴です。

3号店は元々老舗の靴屋さんだった場所で、お店を閉める際にお声掛けいただいたのをきっかけに、かぶら屋としてオープンした店舗です。1号店や2号店と比べると狭いですが、どちらの店舗の特徴も合わせ持っており、また違った独特の雰囲気があります。

赤羽から人が消えた日

2号店店外

2号店外観

安くお酒が飲めるお店というイメージから、平日や週末問わず夜の時間のお客様が基本的には一番多くなっています。ただそれだけでなく、1号店で実施している「昼飲み」も赤羽の大きな1つの特徴です。

特にコロナ前は「昼飲み」や「せんべろ」ができるエリアとして、赤羽がテレビや雑誌で特集されることが多々ありました。

その影響もあり、赤羽以外の地域から訪れるお客様も多くいらっしゃったのですが、全てを狂わす1つの出来事が起きました。

それがコロナウイルスです。

メインの商売道具でもあるお酒を制限され、そもそもの主戦場である夜の営業も制限され、潰れていく他の居酒屋をいくつも目の当たりにしてきました。

テイクアウトを実施してなんとか乗り切ろうかと検討しましたが、赤羽の店舗では立地的にお客様が訪れる見込みが薄いと判断し、その期間はお店を閉めることにしました。

その後、世間の落ち着きとともにお店を再開し、時間はかかりましたが赤羽にある3店舗ともなんとか現在までお店を続けることができています。大変な時期ではありましたが、今では改めてお客様の大切さを身にしみて感じるいい機会だったとも感じています。

凡事徹底

3号店店内

3号店の店内

かぶら屋がお客様に愛されている理由の1つが、安さにあると思います。更にいうなら、ただ安いだけでなく、そこに一定のクオリティが担保されていることです。

そのためには、とにかく基本に忠実に行うこと。これを教育から店舗として徹底しています。

慣れてくるとついつい楽な方法を探したり、効率だけを求めたりしがちです。しかしそれで定着してしまうと、誰かに教えるときもその方法になってしまい、結果として基本が疎かになってしまう可能性があるのです。

店舗としての統一感が欠如することにも繋がるため、自ら声掛けを行うこともありますが、その際は言い方や伝え方にすごく気を遣っています。

昔に比べてデリケートになったという面もありますが、納得した上で行動して欲しいので、しっかりその行動の意図や理由まで伝えることで、解釈の齟齬が起きないようにしています。

お客様を読む

松本店長2

かぶら屋がお客様に愛されているもう1つの理由は、丁寧な接客にあると思います。

店舗としては「呼ばれる前に気づく」ということを意識していて、空いているグラスやお皿などのテープル状況だけでなく、お客様の表情までチェックし、先読みで声掛けを行っています。

店舗としてこの動きを実現するには、スタッフのコミュニケーション能力が非常に大切です。そこで採用の際も、目をみて笑顔で話せるか、ハキハキ話せるか、元気があるかなどの人間性の部分を重要視しています。

飲食業界では常に人材の確保が課題の1つです。そのため、媒体などを使って募集をするときは、同じ地域の平均時給より少し高くしてみたり、今いるアルバイトの人からの紹介で広げていったりと様々な手法を試しています。

紹介に関しては別のメリットも感じていて、紹介した人を中心に仕事のレクチャーをしてもらうようにしているので、コミュニケーションが取りやすいことから早く仕事を覚えることができるようになりました。

向上心の連鎖

1号店の外観

1号店の外観

かぶら屋をもっともっと広げていく意味でも、今後はさらに人を育てることに注力していきたいです。店長や副店長候補の人材をもっと育てていかなければ、次の店舗を広げていくことも叶いません。

ありがたいことに、かぶら屋には店長になるまでのステップが明確にあるため、1つひとつ試験に合格していけば店長になることが可能です。そこを目指している人に対して、しっかりサポートをしてあげることはもちろんですが、その行動を広げていくことも非常に重要だと思っています。

周りが努力している様子を見て、「自分も挑戦してみたい」と同じ方向を目指してくれる人が増えていけば、もっといい店舗、ブランドになっていくと思います。

まだまだ貪欲になってくれる人が少ないというのが課題の1つでもありますが、周りを巻き込んで上を目指せる環境づくりを行っていくことが自分の使命だと感じているので引き続き精進していきます。

かぶら屋

かぶら屋 赤羽店

住所
東京都豊島区南池袋2-24-1
営業時間
[平日]16:00~23:00
[土]15:00~23:00
[日]15:00~22:30
電話番号
03-3987-8562