Columnコラム
2024.06.24
地域に馴染み、お客様とともに
東京都目黒区、東急東横線が通る祐天寺駅は、渋谷や中目黒などへのアクセスの良さに加えて、都会の喧騒から少し離れ、ゆったりとした時を感じられる情緒豊かな街である。
歴史と自然を感じることができるこの地にお店を構えるのが、かぶら屋祐天寺店。このお店で独立をしたオーナーの大谷さんは、2013年のオープン時からこのお店を支え、多くの常連様に愛されながら営業を続けている。
長く関わっているからこそ感じる祐天寺店の特徴やこれまでの葛藤、その経験を経て抱く今後の展望など、大谷さんが抱く強い想いをご紹介。
地域の憩いの場
かぶら屋祐天寺店は、渋谷や中目黒などの人が多く集まるエリアが近くにありながらも、地元の常連様を中心に賑わう非常にアットホームなお店です。別々にきたお客様同士が、実は知り合いだったり、同じ学校の先輩後輩だったりと地元ネタで盛り上がっている光景も祐天寺店の1つの日常です。
バディの人たちも基本的には近くに住んでいることが多いので、同じように盛り上がりながら明るいお店づくりができていると感じています。また、真面目でお客様のことを第一に考えて動いてくれるバディが多いのもこのお店の大きな強みです。
目黒区は衛生面の規制が厳しいため、焼き場とお客様の席の間に仕切りを入れなければいけません。
私は基本焼き場にいるので営業中にコミュニケーションをとることが難しいのですが、自然とバディ同士で連携をとりながらお客様を待たせないような動きをしてくれており、コミュニケーション面だけでなく、業務面でも本当に頼りになる人ばかりだと感じています。
茨の道を超えて
私は2016年のオープンから祐天寺店に関わりつつ、約3年前から独立しオーナーのポジションとなりました。
飲食に興味があったこと、客として訪れた時の雰囲気の良さに惹かれ、未経験から飛び込んだ飲食の世界。しかし、現実は甘いものではなく、幾つもの困難がありました。
その1つが技術面です。マニュアルとして一通りの業務はまとめられているものの、基本的な調理工程すらおぼつかないところがあり、家で個人的にこっそり刻みネギの練習をしたこともありました。
もう1つが店長やオーナーとしての能力です。人を雇うところからはじまり、シフトの組み方、チーム作りのコツなど、実際やってみて感じる難しさがあり、その点については周りの先輩方や仲間に何度も支えていただきました。
立ち上げ当初お店が回らない時はヘルプを出してくれたりと、そうした温かい人の関わりがあったからこそ、ここまで続けたこれたと感じています。
絶望で得た気づき
試行錯誤をして作り上げたいったチームだからこそ、人が離れていく時がこの仕事をしていて一番辛いことです。コロナ禍では営業停止を余儀なくされ、スタッフが全員いなくなるというどん底とも言える経験をしました。
売上もほとんど立たず厳しい状況でしたが、経営者として大切なことに気付かされるタイミングでもありました。テイクアウトを実施している店舗をみんなで手伝い、再開後足りなくなった人手は他の店舗同士で助け合って乗り越えていきました。
また、時短やお酒が提供できない状況でも顔を出してくれる常連様の存在など、たくさんの周りの人たちに支えられて成り立っていることを再確認したのです。
お客様の日常へ
何か新たなことを成し遂げるというよりは、お店を長く続けていくことが1つの大きな目標です。そのためには、今以上にお客様の日常に馴染み、生活の一部と感じてもらうことが必要だと思っています。
先日、オープン11周年をお客様に祝っていただいたのですが、お店をここまで続けられた嬉しさと同時に、10年以上通い続けてくれるお客様の存在に改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
こうして身近な存在として祐天寺店をご利用いただけるお客様を一人でも増やしていきたいです。
そして最終的には、周りの飲食店などと一緒に街全体を盛り上げられる存在になることが夢です。お客様の日常の拠り所となるため、信頼できる仲間とともにこれからも祐天寺店は前に進んでいきます。