Columnコラム
2025.08.28
日本食文化の可能性と
世界での成長戦略
世界各国にブランド展開を進めるフーデックスグループ。その成功の裏側には、単なる事業拡大ではなく、「本物」を届ける使命感と深い現地理解がある。
海外展開の最前線で活躍する中川さんが感じた、日本食文化の現在地とは。「人」を大切にした世界での成長戦略と今後の拡大の核心に迫る。

Ko Nakagawa
フーデックスホールディングス海外事業部、ならびに米国子会社 FOODEX US HOLDINGS, INC.のDirectorを兼任。
フィリピンで生まれ育ち、現地の日本人学校に通学。高校から大学を日本で過ごし、総合商社で3年間の経験を積む。その後、20年以上にわたりフィリピンで水産加工事業を手がけ、事業売却を経てアジアでの日系企業誘致に携わる中でフーデックスグループと出会い、参画。
現在はアメリカをはじめとした海外展開を担当し、探究心をもって現地理解を深めながら、各国に最適な形での事業展開を日々模索している。
—–ご自身の業務や役割について教えてください。
現在は、アメリカを中心として海外での店舗展開とバックオフィス業務に携わっています。普段は東京を拠点としながら、状況に応じて現地に赴いたりと柔軟に動くことも多いです。特にアメリカではフランチャイズ展開を視野に入れ、EXPOなどのイベント出店にも最近は力を入れています。
他部署やパートナーさんとともに動いていくことが多いため、迅速な意思決定や連携が非常に重要です。ただ、忙しい時ほど丁寧に、苦しい時ほど楽観的に。一歩引いて俯瞰で物事を捉えながら、バランス感覚を持って日々業務に取り組んでいます。
—–海外展開において、特に大切にしていることは何ですか?
「誰とやるか」は非常に大切な観点の1つです。
特に海外事業は、どんなに良い戦略があっても、現地で一緒に汗をかいてくれる人がいなければなかなかうまくいきません。無理に拡大を目指していくのではなく、私たちの想いに共感し、信頼できる方々との出会いを大切にしています。最近オープンしたメキシコの新店舗も、そうしたご縁から実現しました。
加えて、現地の文化や歴史、慣習を理解することも非常に大切です。その土地に根差した価値観や嗜好を把握し、柔軟な展開を目指しています。
—–海外においての日本の食文化の捉えられ方について教えてください。
メキシコでの新店舗開業やニューヨークでのフランチャイズショー出展を通じ、日本の食文化への理解が、世界で着実に広がっていることを実感しています。
ブランドを知らない方でも、TONCHINのラーメンを一口食べれば「おいしい」と評価していただけることが多く、またニューヨークでは「うまみ」という言葉が現地に浸透しつつあります。
こうした体験から、日本の食文化は確実に根付いてきていると感じる一方、もはや先行者利益だけでは成立しない厳しさも痛感しています。現地に適応しつつ「本物の味」を届け続ける姿勢が、今後ますます重要になると再認識しています。
—–今後の目標や叶えたいことはありますか。
個人的にはもっともっとたくさんの新規案件に関わっていきたいですね。
世界にはまだまだ知らないことがたくさんあり、そういった未知の世界を探求することに大きな魅力を感じています。現地の理解を少しずつ深め、信頼できるパートナーとともに店舗展開を進めていく。そうした積み重ねで、最終的には世界中にフーデックスグループのネットワークが広がったらいいなと思っています。
そのためにはもっと多くの国で展開していく必要がありますし、同時に仕組み化も進めていかなければなりません。簡単な道のりではありませんが、仲間と共にこの挑戦を続けていきたいと思います。