Columnコラム
2023.05.31
池袋から日本の魚食文化を伝承する
日常の中で気軽においしい魚が食べられる場所。そんな丸冨の想いを食堂という形でお客様に伝えている「鮮魚 丸冨食堂」。居酒屋スタイルに比べ、ランチ時のご利用客も多く、昼夜問わず多くのお客様で賑わいを見せている。
ブランドが大切にする魚へのこだわりと今後の展望を丸冨水産、丸冨食堂の両方を経験してきた高野店長に尋ねた。
旬の魚を知ってもらいたい
魚をメインに扱う上でまず大切にしているポイントが仕入れです。値段や産地だけでなく、季節ごとの旬に合わせて、鮮度の良い魚を仕入れています。お店で魚を締める時や捌く時は、とにかく時間との勝負です。手際の良さがそのまま魚の鮮度に繋がってくるので、ここではスピード感を非常に大切にしています。
そして、人気メニューの1つである盛り合わせでは、見栄えの彩や華やかさに考慮し、視覚的にもおいしそうと感じてもらえるように工夫をしています。気軽に入れる定食屋でありながらおいしい料理を提供するため、細かい部分まで妥協はしません。
刺身以外ではアジフライが非常に人気があり、魚にこだわるブランドの想いと丸冨の定食スタイルがうまく組み合わさったという意味で、ブランドを象徴する大切なメニューの1つです。
また、お酒を飲むお客様が少ないことから、丸冨水産に比べて滞在時間が短い丸冨食堂では、どうやって短時間で満足いただけるかが重要です。1品1品にこだわりを持ち、池袋で一番おいしく魚が食べられる。そんな場所を目指して新鮮で旬な魚を提供しています。
コロナの不安、そして決断へ
コロナの時期はそもそも営業ができない期間が2〜3週間ほど続き、再開した後も営業時間の短縮、お酒の提供ができないなど、政府からの規制もあって売上はほとんど立ちませんでした。お客様が入らず、これまでの3分の1から4分の1にまで売上が落ち込んだ時期もあり、先行きに不安を抱えていたのが正直なところです。
お酒も提供できず、夜は早くお店を締めなければいけない。そうした背景もあり、これまではランチとディナーで提供するメニューを大きく変えていたのですが、メインである定食をランチから継続して提供する方針にしたのです。
この試みに本当に効果があったのかわからない部分もありますが、結果としてコロナの話題が落ち着くと同時に、お客様の数も少しずつ戻っていきました。
お酒もしっかり提供できるようになってからは以前と同等、もしくはそれ以上の賑わいを見せる日も増え、本当に嬉しい限りです。
自然体で頑張りすぎない
これまで10年以上丸冨というブランドに関わってきましたが、長く課題に感じているのが人間関係の問題です。時代の変化とともに人々の考え方も変化しているため、接し方や教育の仕方も常にアップデートが必要だと感じています。
最低限業務に必要な部分はマニュアルを活用していますが、それ以外の部分で意識していることはオンとオフの使い分けです。伝えなければいけない部分はしっかり伝えつつも、干渉しすぎないようにすることも意識していて、いい意味で頑張りすぎないということもポイントだと思っています。
特に接客は臨機応変な部分が多いので、自然にコミュニケーションを楽しんでもらうことがいい接客につながることも多いです。顔を覚えてくれたことを喜んでくれるお客様も多いので、よく来店されるお客様には一言二言こちらから声をかけることがありますが、これも何かルールを決めたわけではなく無意識的に行っています。
オンとオフを使い分け、自然体でコミュニケーションを行うことで、教育におけるコミュニケーションだけでなく、人との関わり方全体が円滑に進むようになりました。
魚を通じてお客様に笑顔を届ける
丸冨食堂池袋東店は2階にあり、下の階には同じfoodex groupの屯ちんがあります。屯ちんでは開店前からお客様の列ができていることもあり、その様子をみていつも「自分たちももっと頑張らなきゃ」と刺激をもらっています。
その影響もありますが、今のお店の売上を伸ばしていき、そこから丸冨というブランドをもっともっと展開していくことが目標です。ただ、新しい店舗を展開していくにはまだまだ人材不足な部分もあるので、個人的には育成の方により力を入れていきたいです。
定食と居酒屋という点で多少異なる部分はありますが、どちらの経験も通して感じたのは魚を通じてお客様に笑顔を届けるブランドの想いです。
より多くのお客様に満足していただける店舗を目指して、これからもこだわり抜いた新鮮な魚をお客様に提供し続けていきます。