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Rootsわたしたちの原点

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日本からアメリカ、そしてタイ文化との新結合。

 

プロローグ

新たなブランド発展の最前線となる場所。

タイの首都バンコクを中心に計4店舗を構えるTONCHIN Thailand。

店舗展開を進めた裏側には数々の挑戦があった。

出店場所、メニュー、人材の問題など、多くのトラブルを乗り越え今に至る。

その険しい道のりの先で見つけたものとは何か。

foodexの歴史の1ページを刻むタイでのエピソードを辿る。

 

冒険のはじまり

冒険のはじまり

TONCHIN Thailandの冒険は、ニューヨークのミッドタウン地区に店を構えるTONCHIN New Yorkが、ビブグルマンを獲得したことから始まる。

ビブグルマンとは、ミシュランガイドの格付けのひとつで、コストパフォーマンスが良く、質の高い料理を提供する店に与えられる称号だ。

この名誉が伝わり、タイのとある企業から「我が国でも出店してみないか」とお声がかかった。これをきっかけに、この企業を現地パートナーとして、私たちはTONCHINをタイで広める決意をしたのだ。

新しい土地での挑戦。
最初の課題となったのが、味の再現である。

異なる文化、風土、食材で納得のいく味を再現するのは容易ではなかった。レシピを作り、マニュアルを完成させるまでには、約3ヶ月の時間を費やした。

さらに大きな課題となったのは肝心の出店場所だ。ただでさえ熾烈なタイの飲食業界。そこへ新規で参入するのは、困難を極めた。

現地パートナーとも協力して必死に探したが、条件に合う場所がなかなか手に入らない。
次のステップに進むこともできず、日本から送り出していた責任者には、現地の別の飲食店で修行を積んでもらうこととなった。

苦労の末、ようやく理想の場所を見つけたときには、実に丸一年もの月日が経過していた。

 

試練の連続

試練の連続

いざオープン。

タイの食文化も取り入れたメニューや和を貴重とした空間づくりなど、丁寧に店舗づくりに取り組んだ結果、お店は開店初日から多くのお客様で賑わった。

大使館近くに出店したことや、ニューヨークでの実績も手伝って、タイのみならず、さまざまな国の方が訪れてくれた。

しかし、すべてが順調にいかないのが現実である。

オープンの1ヶ月前から研修を受けていたスタッフが、スピード感についていくのが難しかったのか、3ヶ月後にはほとんどいなくなってしまったのだ。

さらに、仏教国タイでは出家をする人がいたり、徴兵制度で一部の男性には兵役が課されたりもする。どちらも限られた期間ではあるものの、丁寧に育成したスタッフがすぐに抜けてしまうというケースが多発した。

加えて、ここで追い討ちをかけるように訪れた世界を襲う歴史的な出来事。

それがコロナのパンデミックである。
今までの常識を180度覆すような毎日の始まりだった。

 

危機からの躍進

Tonchin Thailand Siam Paragon店

Siam Paragon店

タイではロックダウンが行われ、飲食店の営業は困難な状況となった。そんな中、アジア最大級とも言われる大型商業施設Siam paragonにテナントの空きが出たという情報が入る。

この厳しい状況下での新規出店には、懸念の声も多くあがった。ただ、もともと出店したかった場所だったこともあり、進む決意を固めた。

しかし、コロナ禍で店舗での営業はできない。初めは未経験のデリバリーからのスタートを余儀なくされる。

耐え忍ぶこと数ヶ月、徐々にパンデミックも収束し、人々が商業施設に戻り始めた。お店にも人が入ってくるようになり、少しずつ経営も安定していった。

また、以前から問題だった人材に関しても、新たな解決策を見つけることができた。

それがミャンマーからの移民の採用である。

ミャンマーの情勢が不安定になり、タイ政府が移民の受け入れを発表したことで、仕事を求める多くの労働者を獲得することができたのだ。

仕事がなければビザを取得できないということもあって、ミャンマーのスタッフは積極的に働いてくれた。

集中力が高く正確な仕事ぶりは安心感があり、頼りになる存在だった。

主言語ではないタイ語でのやりとりという点で、コミュニケーションの問題が出てきた。そこで、月に1回テストを実施し、理解度を確認するとともに一人ひとりの個性を見極めた。

テストの結果を踏まえてスタッフを適材適所に配置することで、その能力をより的確に発揮してもらうことにも繋がった。こうして、現地のスタッフだけでも安定した店舗運営を行えるようになっていったのだ。

 

TONCHIN Thailand
成功の裏側

オペレーションが安定したことで、その後は3店舗目、4店舗目と順調に展開していくことができた。コロナ禍で葛藤の末にオープンした2店舗目も、現在はタイにある4つの中で最も売上が大きい店舗となっている。

めざましい成長ぶりに、最近では5店舗目の話が持ち上がるほどだ。

タイでここまで業績を伸ばせた大きな要因は何か。それは、ニューヨークや日本、台湾、上海といったさまざまな国での成功があったからこそだと感じている。

たとえば、6月に提供を開始した「ビーガン味噌ラーメン」は、TONCHIN New Yorkでのヒット商品。また、価格設定や回転率を重視する際には、日本の店舗を参考にしている。

これまで進出してきた国々での試行錯誤があったからこそ、タイでもブランディングの方針を明確にすることができた。

「美味しいものを安く提供する」というブランドコンセプトを守り、強みである高いクオリティのラーメンを提供することで差別化をはかる。徹底的にリサーチし、店舗によって見せ方を変えるのも、他の国で確立してきたやり方だ。

さらに、現地のパートナー企業がいたというのも非常に大きい要因であった。

特に、その国特有のマーケティングや文化、慣習、政治的背景などのリサーチは、自力で行うには時間と労力がかかる。

パートナーの知識と経験が、これらの課題を乗り越える助けとなった。

コンセプトや戦略の部分では、今でも意見がぶつかりあうこともある。しかしこれは、どちらにも譲れない部分があるからこそ。質の高いブランドを作るための情熱がお互いにある証拠だ。

現地で良い繋がりを持てたことに感謝しつつ、これからもTONCHIN Thailandを盛り上げるための意見交換を続けていけたら嬉しく思う。

 

原点、そして未来へ

Tonchin Thailand Central Plaza Westgate店

Central Plaza Westgate店

近年タイでは寿司や天ぷらといった定番の日本食だけでなく、牛丼などのチェーン店の進出が目まぐるしい。

2022年には日本ブランドの飲食店が5,000店舗を突破し、日本の味もタイの食文化にすっかり溶け込んだと言える状況になった。

この流れを受け、会社としても様々な日本食ブランドをタイに立ち上げていきたいと考えている。

ラーメンに限らず、居酒屋形態、定食や串物を中心としたお店など、私たちにはさまざまな飲食店の選択肢がある。

最新の情報や世界の情勢、動向などを常にキャッチできるようにアンテナを張り巡らせ、パートナーとも協力しながら可能性を探究しているところだ。

タイ進出の原点とも言えるTONCHIN Thailand。

そのブランドを大切に守りつつ、「食を通して人を幸せにする」企業理念を胸に、これからも私たちは未来に向かって歩み続ける。