Columnコラム
2023.08.31
伝統継承、未来への挑戦
「ラーメンでお腹一杯になって貰いたい」
そんな情熱に導かれ、1992年に池袋の街でオープンした屯ちん本店。同じ池袋に2店舗構えているが、特に本店には、より屯ちんへの愛が強いお客様が集まるという。
この名店の舵取りを担っているのは、長い経験を持つ店長の横澤さん。16年の時を経ても「仕事が楽しい」と感じるその心の原点とは何だろうか。そして、横澤さんが目指す未来とは。屯ちん本店の店長としての熱い想いを訊ねた。
仕事の原動力
私が屯ちんと出会ったのは、大学生の時。ラーメンの美味しさと店内の活気に引かれ、アルバイトとして参加することを決意しました。お客様の笑顔や感謝の言葉が私のやりがいとなり、3年間の正社員としての経験を経て、2010年頃から店長としてお店を任されるようになりました。
これまでの約16年間の屯ちんキャリアの中で、私の情熱や楽しみは変わることなく、それが私がこの仕事を続ける大きな理由になっています。
お店の特徴として、特に週末は屯ちんのファンが多く訪れてくださいます。そんな屯ちんお目当てのお客様が笑顔で帰っていく姿は、今でも仕事のやりがいの1つです。
ラーメン屋という性質上、お客様と接する回数や時間は限られていますが、その中でもできる限りいい印象を持っていただくためにも、お客様の目を見て接客するということは常に意識しています。
たとえ作業中でもしっかりお客様を見て挨拶し、笑顔でラーメンを提供する。当たり前に見えてすごく難しいことです。そこを店舗としても徹底していることで、ラーメンの味や屯ちんの総合的な満足度にも繋がっていると考えています。
苦悩の先で得た気づき
ここまで「仕事が楽しい」とお伝えしてきましたが、もちろん悩んだ時期も何度かありました。
例えば、手が滑ってお客様にスープがかかってしまったなど、誰にでも起きうるミスからお客様に迷惑をかけてしまうことがその一つです。
そんな時は、個人のミスではなくチームの責任と捉え、どう再発防止をすればいいか考えています。加えて、朝礼などのタイミングでルールなどの認識のずれがないように共有を行い、必要であればこれまでのルールもアップデートしていきます。
他にも、コロナの時期はそもそも営業ができず、お客様が入らない。そんな日々の連続に苦しめられたことを今でも覚えています。幸いにも、ラーメン屋という業態は他の飲食店に比べて、お客様が戻ってくるまでが早かったのは救いでした。そこからは世間的な流行の落ち着きに合わせて、客足も戻っていき、今はしっかり売上も安定しています。
コロナの厳しい時期を支えてくださった常連のお客様を通じて、改めて愛されている店舗だということを実感しました。同時に、これまでやってきたことが無駄ではなかったのだと再確認することができたのです。
初心を忘れずに前進する
長くこのブランドで働いていて感じているのは、接客や教育の仕方など、時代の変化に合わせて素早く対応できる、柔軟なブランドだということです。これは屯ちんが、お客様や従業員などの関わってくれる全ての「人」に向き合ってきた結果だと思います。
一方で、根底にあるお客様への想いやラーメンへのこだわりは、創業当時から変わらずブランドの軸として今でもしっかり受け継がれています。
この想いを繋いでいくために日々意識していることは、どうしたら屯ちんを自分の居場所だと思ってもらえるか、屯ちんというお店を好きになってもらえるかということです。
新しい世代に屯ちんの哲学や価値観を伝え、その輪が少しづつ広がることで、明るい未来に向けたいい循環ができていくと思います。
本店が抱く未来
個人的には、屯ちん本店としてより良い未来を実現するために、個々の未来をサポートできる、そんな仕組みづくりを進めていきたいです。
働いている人たちが、屯ちんの店長になりたいと思ってくれることはもちろん嬉しいことですが、現在関東に屯ちんは3店舗しかないこともあり、店舗数を増やしていく以外の選択肢が限られてしまいます。
そこで、スタッフのキャリアパスや未来をサポートする仕組みの確立が必要だと感じています。現状の店舗数の制限を超えて、新しい可能性やチャンスを提示できることが大切なのです。
こうして未来が見える仕組みをつくることは、日々の仕事のモチベーションにも繋がり、結果的に屯ちん本店としてもいい影響が出てくるはずです。
屯ちん本店という1店舗の店長ではありますが、これまで受け継がれてきた想いを継承しつつ、こうして未来に向けた仕組みやサポートにも尽力していきます。