お客様との会話を楽しむ大切さ

鴨居駅北口の目の前にある鴨居店は、近くに大型商業施設もあることから帰り道にふらっと立ち寄れる手軽さが1つの魅力です。
駅前ということもあり多くの居酒屋が立ち並んでいますが、お手頃な価格と徹底した衛生管理によって、コロナ禍でも大人から学生まで多くの人に愛されています。

鴨居店は基本的に3〜4人で営業していくスタイルです。その日ごとに新規のお客様をメインで担当する人、常連のお客様をメインで担当する人と分担することで、偏りなくお客様への対応ができるように工夫をしています。

そんな中、自分を含めすべてのバディが意識していることは三配り（目配り・気配り・心配り）です。常連のお客様とは関係値がある程度できているので、こちらから積極的に声をかけることは少ないですが、新規のお客様が来店したら必ずお声がけします。「あちらのお客様はご新規です」とバディ間でも共有し、メニューの説明などをしっかり行うことでお客様との会話を広げていくことに注力しています。

また、オーダーの際に声をかけづらそうにしている方がいることもあるので、お客様の様子に目を配り、場合によってはこちらから声をかけるなど接しやすい雰囲気になるよう心配りをしています。
まだ注文が決まっていなかった場合に「料理についてわからないことがあれば何でも聞いてくださいね」と一言添えているのもそうしたお客様への気配りを大切にしているからです。

お客様とのコミュニケーションはわたしたちが一番意識しているところですが、新人のバディに伝えるのが少し難しい部分でもあります。加えてこうした指導を営業中に行わなければなりません。
そうした経緯もあり、あまり深く考えさせすぎずにシンプルに指導していくのがベストだと考えるようになりました。
円滑にコミュニケーションをとる手法としてよく使われているのは、1分間コミュニケーションルールです。ただ入ったばかりのバディは特に「1分間」という時間ばかり意識し「お店が忙しい中、こんなにお客様と話していていいのだろうか」と考えてしまうこともあると思うんです。

その結果、会話が弾みにくかったり、むしろ注意散漫になってしまったり、ということが実際にもよくありました。

そこでまずは、お客様と会話を楽しんでもらうことを優先するよう伝えています。
「時間はわたしが管理するから、お客様との会話を楽しんできてね」と伝えるようになってからは、心から会話を楽しんでいるように感じることが圧倒的に増え、お店も賑わい、いいお店づくりができていったと思います。
そして結果的にバディの人たちも自然とお客様とのコミュニケーション能力が身についていったんです。

わたしはお客様とバディの会話をつなげる役となることが多いですが、特にルールを決めず「今日はこういうお客様が多いからベテランがメインで対応しよう」などその日のお店の雰囲気を大切にしながら動いているのも1つのこだわりです。

鴨居店は3年前、前任の店長の時に最優秀店舗に選ばれており、その後わたしが着任しました。圧倒的リーダーシップに加え、たくさんの人に慕われていた前任の店長と比べられることも度々あり、着任した最初の頃は波乱の日々でした。
なかなか自分の思いが伝わらず、今メインで働いてくれているバディたちと「辞める、辞めない」の本音の話になったこともあるほどです。

しかし、自分にできることはこれまでかぶら屋でやってきた経験だと考え、まずはしっかり行動で見せていきました。そこから自分のこだわりなどをしっかり伝え、相手の気持ちをしっかり聞いて話し合ったことで徐々に信頼関係が築けたのです。

そこからはさらにいいお店になったと思います。まだ成長過程だと思っているこの段階で優秀店舗に選ばれたことはすごく自信につながっています。
この結果に満足せず、もっといい店舗を目指して努力していきたいです。

みなさんもご存じかと思いますが、コロナの影響で多くの飲食店がつぶれたり、規模を縮小するなど、飲食業界全体が大きなダメージを受けました。
しかし、事実としてかぶら屋はコロナ禍を経て、新規のお客様に来ていただける機会が増えており、逆にこの業界でかぶら屋という存在を示せるチャンスになっていると思っています。
基本的にお客様には行きつけのお店があり、その居酒屋が営業していれば新しいお店にチャレンジすることはありませんでしたが、普段やっているお店がやっていなければ新たに探して見つけてくれることがあります。

そんなきっかけで来てくれたお客様を入店から帰られるまでに満足させられれば、そこから常連になってくださる可能性だってありますよね。
まだまだ下火ともいわれている飲食業界ですが、今の環境はネガティブなことだらけではなく、チャンスととらえお店を盛り上げたいと思います。

今回優秀店舗に選んでいただけましたが、まだまだ成長の過程だと思っています。しかし1つの節目として振り返ってみると、店長として数年の経験を経て、行動することの意味、大切さを身に染みて感じることができました。今後は新しい仲間を迎えつつ、育成のほうにもに注力していきたいです。

そして、自分が育てた人が店長になって、自分自身も新店舗をつくってさらに経験を積んでいくのが理想です。自分だけでなく仲間とともに成長していきたいですね。
自信をもってお客様をお迎えし、楽しくお店を盛り上げることでかぶら屋の認知度をもっともっと上げていきたいと思っています。