Columnコラム
2024.03.29
時代の変化、不変の情熱
2014年にオープンしたかぶら屋駒込店は、駅から約30秒というアクセスの良さが1つの魅力。地元の方を中心に賑わう店内からは、毎日自然と笑みが溢れる。
そんなお店を取りまとめているのが、オーナーである森次さん。オープンから約10年お店に関わり、感じてきた変化とは何か。また、時代の変化の中でも変えなかった信念とは。過去の苦難から今後の展望まで、森次さんの秘めた想いをご紹介。
駒込店のサービス哲学
どのかぶら屋にも共通している部分かと思いますが、駒込店もすごく賑わう店舗です。その一方で、おひとり様や女性のお客様も多いのが駒込店の特徴だと思います。
他の居酒屋と大きく異なるのは、ただ料理やお酒を提供する場ではなく、かぶら屋の理念である「人と人との小さなふれ合いの場」を提供しているという点です。
自然と会話が生まれるような親しみやすい雰囲気があり、お客様の笑顔をみることがこの仕事の1つのやりがいになっています。
お料理に関しては、当たり前のことを当たり前にやること、これが全てです。
熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいままお出しすること、ビールの泡の割合、お皿の向きを考えた盛り付けなど、まずは基本をしっかり抑えます。さらに、駒込店では毎日検食して確かめることをルールとしています。
例えば、焼き物は同じ食材、同じ調理法でも、担当する人や塩の振り方一つで大きく味が変わってしまう可能性があるのです。そこで常にクオリティを一定に保つために、時には私が抜き打ちで入って味を確かめることもあります。
最新の育成術
オープンからおよそ10年の間で、人材に関してはさまざまなトラブルがあり、その度に試行錯誤を繰り返してきました。
かぶら屋の理念の共有がうまくできず、コミュニケーションの問題で人が離れてしまったこともありました。時代とともに教育の仕方も大きく変わってきており、その変化に対応しなければ人はついてきません。
言葉遣いがその1つの例です。最近はハラスメントに対してもすごく敏感になってきているので、言葉遣いを気にしないで、感情だけで伝えるような強引な教育は一切通用しません。
しっかりとバディ一人ひとりと向き合うこと。感謝を忘れないこと。これを前提にかぶら屋の理念を丁寧に伝えていきます。相手へのリスペクトを持ち、同じ志を持って仕事をしていくことが大切なのです。
失敗もたくさん経験してきましたが、オープン直後からずっとついてきてくれている社員さんもいて、それには本当に感謝しかありません。
2つの仕掛け
私がここまでお店を続けてこれたのは、入社当時から根底に「かぶら屋が好き。」という感情があるからだと思います。
はじめはお客様としてかぶら屋に興味をもち、いざ入社して厨房の内側に立ってみると見える景色が大きく変わりました。もちろん、苦い思い出も多くありましたが、その中でもかぶら屋への情熱が冷めることはありませんでした。
コロナ明けの時期は、特に苦労したのを覚えています。営業停止を余儀なくされ、再開となってもお客様が全然戻らず、昨年の秋ごろまではかなり苦しい日々を過ごしました。
テイクアウトも選択肢としてはあったかもしれませんが、私の判断ではこれは実施しませんでした。出来立てではなく味が落ちてしまうことが、どうしても認められなかったのです。
そんな状況下ではありましたが、2つの取り組みをしてみました。その1つが店舗限定メニューです。今でも本部の方と私で毎月会議をしながら、お客様に喜んでもらえるメニューを考えています。
そしてもう1つが店舗の声掛けの改善です。お客様がなかなか戻らず、店舗の雰囲気としても少し落ち込んでいる印象があったので、営業の中の声掛けで統一感を出してお店を活気づけようとしたのです。
次第にお客様から「元気になったね。」という言葉もいただけるようになり、遠のいていた客足も戻りはじめ、新規のお客様にも少しずつご利用いただけるようになっていきました。
チーム力で築く
私はオーナーという立場なので、経営という側面にこれからもっと力を入れていく必要があります。手探りでやってきたところもあったので、経営者としてはまだまだ勉強することばかりです。
そこで、今後経営者としてより成長するためにも、まずはお店を安心して任せられる状態にすることが目標です。
そのためには、人材の育成が必要不可欠です。これまで課題に感じてきた部分でもあるので、すぐに解決できないかもしれません。ただ、10年近く一緒にやってきた信頼できる仲間もいるので、力を合わせながら少しずつでも前に進んでいきます。
来てくださるお客様に最大限のおもてなしをしつつ、より多くのお客様に愛される店舗を目指して、これからも努力を続けます。